柴犬の飼い方・世話の仕方
「柴犬を飼ってみたいけど、私に飼えるかな?」。そんな疑問をお持ちの方は少なくないでしょう。柴犬は清潔好きで病気や温度差にも強く、立ち耳で硬い短毛であるため、日々のお手入れは他の犬種に比べて楽だと言えるでしょう。反面、散歩量や抜け毛は多い傾向があります。
柴犬の上手な飼い方を覚えて、飼い主も柴犬も家族みんなでハッピーになりましょう。
柴犬の毛はダブルコートになっており、硬くて直毛の上毛と柔らかい下毛の2種類の被毛に覆われています。
被毛のお手入れは、お散歩帰りなどに硬めの獣毛ブラシでブラッシングをしてあげれば十分です。頻度はできれば毎日、難しければ週に1~2回でも十分です。幼犬期からブラッシングの習慣をつけておけば、嫌がることはないでしょう。
少し汚れや臭いが気になてきたら、お近くのトリミングショップなどでシャンプーをしてあげるとよいですが、簡単には蒸しタオルなどでゴシゴシと拭いてあげるだけでも効果があります。シャンプーの頻度は、1~2ヶ月に1度、爪切りは十分に運動をしている子なら自然と削れていきますので特に必要ないでしょう。
初めてのシャンプーは、2回目のワクチン接種が済んでから1週間程度あけ、体調が回復したのを確認してからが良いでしょう。それまでに臭いが気になれば温めたタオルできれいに拭いてあげてください。
また、突然シャワーやドライヤーを行なうと怖がってしまうことがあります。柴犬は大袈裟な犬種なので、嫌がって暴れ回ったり悲しそうな鳴き声を出すことがあります。シャワーをかけなくてもお風呂に連れていったり、ドライヤーを見せてあげたりして、慣らせながら安心させてあげると良いでしょう。
毎年、春頃にある換毛期は、古い毛が死毛となって大量に抜け落ちます。これはこれからの暑い季節に備えて被毛を着替えているのですが、死毛を放置しておくと体温が高まって体調を崩したり皮膚病の温床にもなりますので取り除いてあげる必要があります。
体の所々にモコモコとした毛が見えたら死毛が浮いてきているサインです。獣毛ブラシを使って丁寧に取り除いてあげてください。たくさん抜けますからおうちの中でやると大変なことになりますよ。
柴犬などの日本犬は昔からのこの国で暮らしてきた犬種ですので、粗食に耐えると言われることもありますが、現代の日本ではきちんとした食事を与える必要があります。
本来犬は肉食動物だったのですが、人間に飼われているうちに、自然と人間の食べ物に慣らされ、肉食動物というよりは雑食動物に近くなりました。
日常の食事で必要な栄養素は主にたんぱく質、脂肪、糖質、ミネラル、ビタミンなどです。
ドッグフードは栄養バランスが大変優れていますので、ドッグフードを与えていれば基本的に問題はありません(粗末なドッグフードにはご注意ください)。
ただし、近年肥満傾向にある柴犬が多く見られます。太りすぎは体に害となりますので、体重にあわせたフードの量を必ず守って下さい。また、柴犬にも人間と同じ食事や手作り食を与える場合もあると思いますが、その際、下記のものには注意が必要となります。
たまねぎ、ねぎ、にら、にんにくなど
ヘモグロビンを変性させてしまう作用がある為、血尿や黄疸につながる恐れがあります。
えび、いか、貝、かに、たこなど
生はもちろん、加熱をしていても消化が悪く、下痢や嘔吐の原因となります。
鶏や魚の骨など
消化器官に刺さったりする可能性がありますので、必ず取り除いてから与えましょう。
チョコレート、ココアなど
テオブロミンという物質によって中毒症状を起こし、嘔吐、下痢、最悪の場合は死に至ることもあります。
柴犬は室内・室外のどちらでも飼育できる犬種で、現在でも外飼いされることの多い犬種です。ただ、最近は室内飼いが増えており、体温の低い子もいるので、あらかじめお譲り頂くブリーダーさんなどに相談をした方がよいでしょう。室外で飼育される場合は、天候や日差しに合わせて場所を動かせるタイプのドッグハウスを用意してあげてください。
柴犬をケージに入れる場合は60~90cm角ぐらいのものが一般的となります。高さとしては、柴犬のオスで最高値が41cmですので、これに余裕をもって60cm以上あれば問題ないでしょう。
古くから日本に生息し、日本の自然の中で暮らしてきた柴犬ですので、日本の高温多湿な気候には慣れていますが、近年の異常気象で柴犬にも厳しい環境になりつつあります。
ところが柴犬は持ち前の我慢強さで多少の暑さ、寒さはじっと耐えてしまいますので、飼い主側が日陰の確保や、毛布を用意するなど天候に合った配慮をしてあげる必要があります。
柴犬は元々が狩猟犬ですので、野山を激しく走り回っていた歴史があります。
持ち合わせている体力は相当なものですので、しっかりとした体に育てるためには運動は必要不可欠です。見かけ以上に散歩が必要な犬種だと理解してください(柴犬を飼う上で、散歩量の確保に不安がある場合は、メスの柴犬をオススメします)。
毎日の散歩が大切なのはもちろん、特に成犬時には近所のお散歩だけではなく、飼い主は自転車にまたがり一緒に長い距離を走ったり、定期的に地方のドッグランに出かけるなどして、思う存分ストレスを発散させてあげましょう。
また、お散歩時にはさまざまな臭いを嗅ぎたがると思います。ただ、お散歩中にむやみに草むらなどの茂みに入れたり、他の動物の排泄物などの臭いを嗅がせるのは止めさせた方がよいでしょう。フィラリアや回虫をはじめとする病原菌をもらいやすくなります。
いたずらが激しい、穴掘りをする、言うことをきかない。そんな時は、運動が足りていない場合もあります。しっかりと運動させてあげることで、気持ち的にも安定した生活が送れるようになります。
柴犬はとても丈夫な犬種で、他の犬と比べると病気にはかかりにくいです。ですが、ここ最近では外飼いから室内飼いへの変化があったり、食生活も人間が食べていた残り物からドッグフードへと変わってきました。そのせいもあり、体質に変化が表れているのも事実です。
特に顕著なのが皮膚疾患です。外飼いから室内飼いに変化をしていく中で、日光を浴びる時間が少なくなり皮膚が弱くなってきたり、これまでには存在しなかった室内の湿度、ハウスダストが原因でアレルギー性皮膚炎を起こすこも増えています。
体を痒がっていたり、毛が抜けたりの症状が見られた場合には早めに動物病院を受診しましょう。
皮膚病に次いで多いのが肥満です。愛犬が可愛いあまりにおやつや食事をあげすぎてしまったり、運動不足が要因で肥満の柴犬が多く見られるようになってきました。過度な肥満は糖尿病や心臓病を引き起こすだけでなく、体重が増えることで足や腰への負担が増え、関節を傷めることとなりますので飼い主側で注意が必要です。
他にも悪性の腫瘍や、子宮蓄膿症、目の病気である白内障や角膜炎、耳の病気である外耳炎など、全体的に昔よりも病気にかかる柴犬が増えています。
狂犬病の予防接種は、柴犬が生後91日以上になったら受ける必要があります。それ以降は毎年1回、必ず受けることが義務付けられています。接種方法は役所から案内を受け取って接種する集合接種の他に、かかりつけの動物病院で接種する事も可能です。
混合ワクチンは生後1年目は2~3回接種することが一般的です(ブリーダーさんから子犬を譲って頂くときに既に2回程度摂取済みであることが一般的です)。
子犬は小さい頃は母犬から母乳を通して免疫を受け取っていますが、乳離れと共に免疫力が低下していきます。母親からの免疫機能が働いている間にワクチンを接種した場合、既存の免疫に負けてワクチンの効き目が消されてしまう場合があります。そうした場合も考慮して、1年目は2~3回の接種が必要となります。2年目からは毎年1回の接種で構いません。
他には外飼いが多い為、フィラリアにかかりやすい犬種でもあります。蚊が媒体となって感染しますので、お住まいの地域に蚊が発生する1ヶ月前ぐらいから、蚊が発生しなくなった1ヶ月後ぐらいまで、予防薬を飲ませましょう。薬をきちんと飲ませていれば、フィラリアにかかる可能性はほとんどありません。