不登校をなくせ! 犬と人の学校「NPO法人キドックス」
日本では、社会や学校で人との付き合いがうまくいかず、ひきこもりや不登校になってしまう事例があとをたちません。その原因はさまざまですが、当事者が心の傷を負っていることも多く、強制的に社会や学校に復帰させても根本的な解決になりません。それどころか、荒療治ではいたずらに事態を悪化させてしまうこともあるのです。
そんななか、茨城県土浦市にあるNPO法人「キドックス」では、ひきこもりや不登校に悩む若者たちの自立を、保護された犬の世話を通じて支援しています。ひとつの命と真っ向から向き合うことによって、相手の気持ちをくみ取る訓練を行うのですね。犬と言っても相手は生き物。思い通りにはいきません。そうした、命を通じた学びだからこそ、他では得られない体験をすることができるのです。
キドックスの名前の由来は、「KID(子ども)」と「DOG(犬)」を組み合わせた造語です。では、その特徴を詳しくみていきましょう。
入所者ひとりに犬1頭基本的にすべての入所者には、1頭の犬の世話を任されます。最初はなかなか仲良くなれませんが、根気よく世話を続けることで、少しずつ打ち解けられることが多いそうですよ。頭で考えるのではなく、実際の行動によってお互いを理解し合うのですね。
犬の世話に正解はないもちろん、犬の世話に正解はありません。大切なのは、お互いの心が通い合うこと。そのためには、自分のことよりもまず相手が何を考えているのか知る努力をしなければなりません。実社会でも、コミュニケーションの基本は同じですよね。
お互いに成長する保護犬の世話を通じて、お互いに成長し合いながら、心のつながりを感じることができます。そうした過程を経て、抱えている不安を徐々になくし、自信を獲得することができるようになるのです。
こちらの施設では、動物愛護団体「CAPIN」から保護犬を受け入れています。犬と人、双方が自立できる仕組みに挑戦しているということもあって、その活動は県内外から注目されています。