ヨークシャーテリアの効果的なしつけ方
ヨークシャーテリアは多少頑固で強気な面もありますが、テリア犬らしい利口さも持ち合わせ、非常にトレーニングのしがいがある犬です。人も犬も気持ちよく生活できるように、なるべく早いうちから必要なルールを教えていきましょう。大きく知能が発達する生後2、3カ月頃がしつけの始め時です。
犬は頼れるリーダーの下で生活することに安心を感じ、その命令に従い、そして褒められることに大きな喜びを感じる動物です。飼い主さんは、愛犬から群れのリーダーだと認識されるように振る舞う必要があります。
たとえどんなに可愛くても、人間と同じような食事を与えたり、上下関係がはっきりしないうちから同じベッドで眠ったり、特定の場所の占有を許したりといったことはせずに、人間と犬との間の線引きを明確にしましょう。
常に飼い主さんが主導権を握ることも重要です。遊ぶ時も犬にせがまれるままに遊ぶのではなく、始めるのも止めるのも飼い主さんの意思で行ってください。また、部屋や車に入る時は必ず飼い主さんが先に入るようにしましょう。
善悪の区別については常にはっきりと、明確な基準を持って接するようにしてください。同じことをしても飼い主さんの気分次第で怒られたり怒られなかったりすれば、犬も混乱しますし、何よりもリーダーとしての信頼を失います。
しつけについて、家族の間でしっかり話し合い、同じ基準を共有することも大切です。
犬にとってリーダーから褒めてもらえることは何よりの喜びです。叱って覚えさせるよりも、褒めて覚えさせるほうが犬のやる気にも繋がります。
うまく出来た時は、優しい声をかけながら、これでもかというほど褒めてあげてください。
もちろん良くないことをした時は叱ることも必要です。叱る時は間を置かず、すぐにその場で叱るようにしてください。時間が経ってから叱ると、犬は何を叱られたのか分からず、しつけの効果がありません。
ヨークシャーテリアはどうしても被毛の手入れに手間がかかる犬種です。しかし、体を触られることを強く嫌がるようではそれもままなりません。子犬のうちから体を触られることに慣れさせ、どこを触られても嫌がらないようにしておきたいところです。
とはいえ、強引にあちこちを触れば、犬が嫌がるのも無理はありません。トレーニングだと気負うよりも、あくまでも普段の触れ合いの延長として、楽しい雰囲気の中で触ってあげましょう。
背中を撫でたり、膝の上に乗せたりしてリラックスしたところで優しい声をかけながら少しずつ仰向けにして、お腹や脚を触るようにしてください。
こうした触れ合いを繰り返していくことで、人に体を触られるということを、気持ち良い、嬉しいという感情と結びつけてあげましょう。
食事は決められた場所で、決められた時間に行なうようにしましょう。
常に食器に食べ物が入っていて、犬が好きな時に食べられるという状態は良くありません。食べ過ぎから肥満の原因になりますし、「リーダーから食べ物を与えられている」という感覚が薄れてしまいます。決められた時間が過ぎたら、食べ物が残っていても食器を片付けてください。
また、小型犬は食べ物の好き嫌いが多い傾向がありますが、選り好みを覚えさせるのは避けましょう。普段のフードを食べたがらない時でも、体調不良でない限りはいつも通り、時間がきたら食器を片付けるようにしてください。
人間の食べ物を与えることは健康面でもしつけの面でも良くありません。可愛いヨークシャーテリアに一生懸命ねだられても、毅然とした態度で接してください。
まず犬を家に迎え入れる前に、あらかじめトイレの場所を決めておきましょう。
飼い始めたら、まずそのトイレの場所で実際に一度排泄をさせることで、場所を教えます。排泄後はトイレ用シートの一部を残すことで臭いに訴えかけ、トイレの場所を忘れさせないようにします。
それでも、しばらくは排泄の兆候が見られたらすぐに抱きあげてトイレの場所に連れていき排泄をさせてください。そしてトイレ以外の場所で排泄をしてしまったときは、必ずその場で叱るようにしましょう。
これを繰り返すうちに自分でトイレの場所に行き、排泄できるようになります。うまく出来たときは、その場でしっかり褒めてあげましょう。
トイレのしつけについては、こちらの「トイレトレーニング(しつけ)徹底解説!」 も参考にしてください。
散歩時も飼い主さんが主導権を握り、犬が飼い主さんより前を歩き、自分の好きな方向へ行ったりしないようにする必要があります。
犬が前を歩いたらすぐにリードを引き、戻ってきたらその都度褒めるようにしましょう。ただし、小さい体のヨークシャーテリアですので、思い切り引っ張ったりするのは危険です。力任せに引くのではなく、「ダメだ」というサインを送るつもりで引くようにしてください。
散歩中は拾い食いをしないようにしつけをする必要があります。万が一除草剤の散布された草などを食べてしまうと大変危険ですし、草むらにはフィラリアをはじめ様々な害虫が存在しています。普段から決められた場所でしか食事をさせないという習慣をつけておくことが大切です。
また、ヨークシャーテリアは体が小さいながら気の強いところがあるので、散歩中に他の犬とすれ違った時、自分から吠えて向かって行ったりすることもあります。吠えたり向かって行こうとする兆候が見られた時点ですぐに叱り、その行動を止めさせましょう。
よく相手に吠えかかってしまったヨークシャーテリアを飼い主さんが抱き上げてなだめる光景がありますが、これは叱ったうちに入りません。しっかりその場で叱って、良くないことだと理解させましょう。
普段から飼い主さんがリーダーシップを取り、良いこと悪いことの区別をはっきり示すことがしつけの基本であり、最も重要なことです。
とても愛くるしいヨークシャーテリアだけについ甘やかしてしまいがちですが、ルールの機能した共同生活だからこそ、人も犬も気持ちよく暮らしていけるということを忘れないようにしたいものですね。